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設備投資で損をしない、買う前の5つの確認

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この記事のポイント

  • 設備投資の税務判断は買った後では動かせないため、検討段階での相談が前提になります。
  • 投資促進税制は取得価額の30%を特別償却でき、令和9年3月末までの取得が対象です。
  • 補助金の圧縮記帳は非課税化ではなく、課税を耐用年数にわたって繰り延べる制度です。
  • 手元資金の一括投入は運転資金の余裕を削るため、必ずしも最適な資金調達になりません。
  • 賃上げ促進税制を同じ年度に組み合わせると、税額控除で恒久的な減税効果が残ります。

こんな状況、ありませんか。

「そろそろ機械を入れ替えたい」「補助金が通ったら買おうと思っている」「手元に資金があるから一括で払うつもりだ」。

設備投資の検討は、こうした段階で社内だけで固まっていきます。
そして税理士に話が来るのは、発注が済んだ後か、決算が近づいてからです。

しかし設備投資の税務は、買う前にしか設計できません。
取得の時期、資金の出し方、補助金との組み合わせ、賃上げとの重ね方。
この4つはすべて「買う前」に決まってしまいます。

この記事では、設備投資の前に税理士へ確認すべき5つの論点を、実額の計算例とともに整理します。

確認① なぜ「この設備を買うのか」を先に言語化するのか

設備を買う理由を先に言語化する必要性を示した図です

設備投資の相談は、税制の話より先に「投資の目的」を整理することから始まります。

外注していた工程を社内に取り込めるのか。 生産キャパシティが上がって受注の上限が変わるのか。
特定の得意先への依存度を下げられるのか。

ここを言語化しないまま税制の話に入ると、判断の順序が逆になります。
「税制が使えるから買う」という決め方は、投資として成立しません。
MC LINK会計事務所は、外部CFOとして、まず投資の経営上の意味を確認します。

言語化には実務上のリターンもあります。
補助金の事業計画書に書く「事業の必要性」はここから作れますし、銀行が見る返済原資の説明もここが起点になります。 同じ内容を、税務・補助金・融資の3方向に使い回せます。

節税は、投資判断の結果として付いてくるものです。
私たちは決算前の面談で節税検討シートで網羅的に選択肢を洗い出しますが、そこで示すのは効果額とリスクの両方です。 設備投資も同じで、「税効果がいくら出るか」と「その代わり何を負担するか」を並べて、社長が判断できる形にします。

確認② 投資促進税制の対象になるか

中小企業投資促進税制は、機械装置なら1台160万円以上が対象で、取得価額の30%を特別償却できます。

対象は青色申告法人で、令和9年3月31日までに取得して事業に使い始めた設備です。
機械装置のほか、一定の工具・ソフトウェア・貨物自動車も含まれます。 中古品と貸付用の設備は対象外です。

実額で見ます。 取得価額4,120万円の機械を取得した場合、特別償却は1,236万円です。
実効税率33%で計算すると、初年度の税負担は約408万円軽くなります。

ここで断言します。 特別償却は減税ではなく、課税の繰延です。
初年度に1,236万円を先に落とす分、翌期以降の減価償却費はその分減ります。
耐用年数を通した償却総額は変わりません。

一方、資本金3,000万円以下の法人は、特別償却に代えて7%の税額控除を選べます。
こちらは税額そのものが消えるため、恒久的な減税になります。
資本金3,000万円を超える法人は税額控除を選べず、特別償却のみの適用です。

特別償却30%税額控除7%
効果の性質課税の繰延恒久的な減税
対象法人中小企業者等資本金3,000万円以下
有利になる局面当期の利益が突出している利益が安定、または繰越欠損金がある

どちらを選ぶかは、当期の利益額だけでは決まりません。
翌期以降3期程度の利益見込みまで並べて比較する必要があります。
なお特別償却に月割りの調整はないため、決算月に取得しても1年分の効果が出ます。

確認③ 補助金を使うなら「圧縮記帳」の設計を先に決める

補助金を使う場合の圧縮記帳の設計手順を示した図です

圧縮記帳は補助金を非課税にする制度ではなく、課税の時期を後ろにずらす制度です。

補助金は受け取った年度の益金になります。
何も手を打たないと、設備の償却費は耐用年数に分散するのに、補助金だけが一括で課税されます。
この期ズレを埋めるのが、国庫補助金等の圧縮記帳(固定資産圧縮損)です。

4,120万円の機械に1,000万円の補助金が出た場合、同額を圧縮損として計上します。
これで受給年度の課税は避けられます。 ただし帳簿上の取得価額は3,120万円に下がるため、
翌期以降の減価償却費は減ります。 税負担が消えたのではなく、後年度に戻ってくる構造です。

実務で見落とされやすい点を2つ挙げます。

1つは、圧縮記帳の適用には補助金の返還不要が確定していることが必要な点です。 交付決定だけでは足りません。

もう1つは、圧縮記帳と特別償却を併用した場合、特別償却の計算基礎は圧縮後の取得価額になる点です。
上の例なら、1,236万円ではなく3,120万円の30%が限度になります。 2つの制度の効果は単純に足し算されません。

さらに、補助金は原則として後払いです。
設備代金は先に全額支払う必要があり、入金までのつなぎ資金を用意しなければ資金が回りません。
申請・採択・交付決定・支払い・入金・事業供用の6つの時点が決算期をまたぐと、
どの期に何を計上するかで税額が変わります。 だからこそ、申請段階で税理士を巻き込む必要があります。

補助金の申請支援から圧縮記帳・特別償却の判定まで、顧問契約の中で一気通貫で対応しています。

確認④ 借入と手元資金の組み合わせをどう決めるか

設備投資の資金は、設備の耐用年数に合わせた長期借入で組むのが基本の考え方です。

理由は、減価償却費と返済のバランスです。
償却期間より短い借入で組むと、帳簿上は利益が出ているのに現金が残らない状態になります。
逆に耐用年数に合わせておけば、その設備が生む利益で返済していける形になります。

手元資金の一括投入には別のリスクがあります。 設備は買った瞬間から現金を生むわけではありません。
立ち上げ期間の運転資金と、想定外の追加費用を吸収する余裕を残しておく必要があります。

製造業の顧問先(年商数億円規模・成熟期)では、数千万円規模の機械投資を検討する際に
「短期の借入を先に返済すべきか」という相談がありました。
私たちが示したのは、手元資金で短期借入を返すのではなく、設備の耐用年数に合わせた長期借入に組み替える方向です。 理由は、補助金の採択結果が出るまで原資の構成を確定できないためです。
結果として手元資金を温存したまま申請を進め、採択後に借入額を確定する形になりました。

この判断は、銀行や税務署ではなく会社の側に立つという前提から出てきた結論です。
借入を減らすこと自体が目的なら、返済を優先する答えになります。
しかし目的が「投資を実行しても資金が詰まらないこと」なら、答えは変わります。

確認⑤ 賃上げ促進税制と同じ年度に組めるか

賃上げ促進税制と同年度に組む場合の判断を示した図です

賃上げ促進税制の税額控除は、設備投資で利益が薄くなる年度でも5年間繰り越せます。

中小企業向けの控除率は、雇用者給与等支給額が前年度比1.5%以上の増加で15%、2.5%以上の増加で30%です。
くるみん・えるぼしの認定を受けている場合は5%が上乗せされます。
教育訓練費による上乗せは廃止されたため、2026年4月以降に開始する事業年度は上限が35%になります。

控除額には、法人税額の20%という上限があります。
設備投資で所得が圧縮される年度は、この上限に当たって控除枠を使い切れません。
ここで効くのが5年間の繰越控除です。 当期に使えなかった枠を、利益が戻った年度に回収できます。

つまり、設備投資と賃上げを同じ年度に重ねる判断は成り立ちます。
特別償却で当期の所得を圧縮し、使い切れなかった賃上げの控除枠は翌期以降に持ち越す。
この組み合わせを、決算前にシミュレーションしておくかどうかで結果が変わります。

注意点は決算期です。 上限が35%に切り替わる境目をまたぐ会社は、賃上げの実施時期そのものが判断材料になります。
自社がどちらの区分に入るかは、事業年度の開始日で決まります。

まとめ

設備投資は「いつ・いくらで・どう資金調達するか」で、手元に残る現金が変わります。
そして、その3つはすべて発注前に決まります。

やるべきことは1つです。 見積が固まった段階で、決算日を待たずに税理士に持ち込むことです。

確認すべき5つの論点を再掲します。

  1. その設備を買う経営上の理由を言語化する
  2. 投資促進税制の対象か、特別償却と税額控除のどちらが有利かを判定する
  3. 補助金を使う場合の圧縮記帳と、つなぎ資金の手当てを設計する
  4. 借入と手元資金の組み合わせを耐用年数に合わせて決める
  5. 賃上げ促進税制との同一年度シミュレーションを行う

MC LINK会計事務所では、経験5年以上×2名体制で顧問先を担当し、設備投資の判断も顧問契約の中で対応しています。
年商300万円〜200億円まで165社の支援実績から、税効果と資金繰りの両面を並べて提示します。

よくある質問

設備投資に関するよくある質問を整理した図です

設備投資の相談は、いつ税理士にすればいい?

見積を取った段階が最適な時期です。 発注後では取得時期も資金の出し方も動かせず、選べる制度が減ります。
補助金を使う予定なら、申請の検討段階から相談してください。

設備投資の補助金申請は税理士に依頼できる?

認定支援機関である会計事務所なら対応できます。
MC LINK会計事務所は事業再構築補助金・ものづくり補助金・先端設備等導入計画の支援実績があり、
事業再構築補助金の採択率は80%以上です。

設備投資の節税効果はどのくらい?

取得価額と税率、資本金の額によって変わります。
取得価額4,120万円の機械なら、特別償却30%で1,236万円を追加計上でき、実効税率33%で初年度の税負担が約408万円軽くなります。
ただしこれは課税の繰延で、翌期以降の償却費は減ります。

補助金をもらった設備は減価償却できない?

減価償却できます。 ただし圧縮記帳を適用した場合、補助金相当額を差し引いた金額が取得価額になるため、
償却費は圧縮後の金額を基礎に計算します。

補助金が採択されなかったら設備投資はどうする?

自己資金と借入で実行するか、次年度に見送るかの判断になります。
判断の分かれ目は、その設備が今期の受注や生産に直結しているかどうかです。
採択結果が出た時点で、資金繰り表と合わせて再検討してください。

「買う前に一度確認したい」という段階からご相談いただけます。設備の見積と直近の決算書をお持ちください。


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【監修者】

丸山 悠由(まるやま ゆう)/ Yu MARUYAMA MC LINK会計事務所 代表パートナー 公認会計士/税理士/認定事業再生士/経済産業省 経営革新等支援機関

外部CFOとして、節税検討シートを用いた網羅的な決算前提案を統括。 公認会計士・税理士として、税務の正確性と経営合理性の両立を重視する。

[MC LINK会計事務所の体制] 公認会計士2名・税理士7名・国税OB税理士在籍/freee 5つ星認定アドバイザー 最大60億円の資金調達支援(1件あたり)、資金調達成功率90%超の実績を持つ事務所として、 年商300万円〜200億円まで165社の顧問先を支援。

公開日:2026年8月19日/更新日:2026年8月19日 ※税制・各制度の要件等は2026年8月時点の情報に基づきます。適用にあたっては最新の国税庁・中小企業庁の公表内容をご確認ください。

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この記事を書いた人

MC LINK会計事務所 代表パートナー/株式会社MC LINKパートナーズ 取締役
有限会社MC&Associates 代表取締役/株式会社MC LINKヘルスケア 代表取締役/株式会社MC LINK FAS 代表取締役
丸山悠由公認会計士事務所 代表

公認会計士/税理士/認定事業再生士/経済産業省 経営革新等支援機関/総務省 政治資金監査人

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