freeeで社会保険の会社負担が合わない3つの原因と対処法

この記事のポイント
- freeeで社会保険の会社負担額が合わない原因の多くは、ソフトの不具合ではなく「設定の前提ズレ」にある
- 主な原因は「保険料率の更新漏れ」「標準報酬月額の改定反映漏れ」「徴収タイミング設定のズレ」の3つ
- 社会保険の制度判断(加入条件・届出・手続き)は社会保険労務士に相談することが前提
- freee上の設定・業務フロー設計を正しく整えることで、毎月の差額確認という無駄な作業をなくせる
- 設定を直しても再発する場合は、ツールではなく業務フローそのものに問題がある
こんな状況、ありませんか?
freeeで給与計算をしているのに、社会保険料の会社負担額が毎月なぜかズレている。
経理担当者が差額を手作業で修正し、その確認作業で時間を取られている——。
こうした問題を抱える会社は珍しくありません。
freeeは非常に優秀なクラウド会計ソフトですが、社会保険料は制度そのものが複雑なため、設定の前提が一つズレるだけで毎月の計算結果に影響します。
顧問先の99%以上がクラウド会計を活用するMC LINK会計事務所の経験では、「freeeが間違っている」ケースより「freeeに渡している前提情報がズレている」ケースが圧倒的に多いです。
この記事では、ズレの原因と対処法を断言します。
なお、社会保険の加入条件・届出・手続きに関する判断は社会保険労務士の業務領域です。
制度面での疑問は、顧問の社会保険労務士に確認することを前提としてお読みください。
なぜfreeeで社会保険の会社負担額がズレるのか

freeeの社会保険料計算は「正しい前提を与えれば正しく計算する」という仕組みです。ズレの原因は、freeeに渡している前提情報の側にあります。
社会保険料の計算に使われる前提情報は、大きく3つです。保険料率、標準報酬月額、そして徴収タイミングの設定です。
この3つのどれか一つでも実態と合っていなければ、毎月ズレが発生し続けます。
原因① 保険料率が最新の内容に更新されていない
健康保険料率は毎年3月に改定されることが多く、更新を見落とすと翌月以降ずっとズレが続きます。
健康保険料率は、協会けんぽに加入している場合、都道府県ごとに毎年見直されます。
健康保険組合に加入している場合は、組合ごとの改定タイミングがあります。
介護保険料率も年度単位で変わることがあります。
freeeでは保険料率を手動で設定・更新する必要があります。
前年の設定をそのまま使い続けていると、新しい料率が反映されないまま計算が走り続けます。
結果として実際に納付している金額とfreee上の計算結果が毎月少しずつずれていきます。
対処法: 毎年4月の給与計算前に、freeeの保険料率設定を最新内容に更新する。更新の根拠は、協会けんぽまたは健康保険組合から届く改定通知書を使うこと。料率変更の判断自体は社会保険労務士に確認するのが確実です。
原因② 標準報酬月額の改定がfreeeに反映されていない
昇給や定時決定(算定基礎届)後に標準報酬月額が変わっているにもかかわらず、freeeの設定が旧等級のままになっているケースです。
社会保険料は、毎月の実際の給与額ではなく「標準報酬月額」という等級をもとに計算されます。この等級は、毎年7月の定時決定(算定基礎届)や、昇給・降給があったときの随時改定によって変わります。
年金事務所または健康保険組合から「標準報酬月額決定通知書」が届いたとき、その内容をfreeeに反映する作業が必要です。この作業が漏れると、旧等級で計算が続くため、実際の納付額とfreeeの計算結果がずれます。特に8月〜10月は定時決定後の等級変更が集中するため、ズレが発生しやすい時期です。
対処法: 決定通知書が届いたら、内容をfreeeの従業員情報に反映するフローをルール化する。随時改定が必要かどうかの判断は社会保険労務士に相談してください。freeeへの入力は、通知書の内容を正確に転記するだけなので、経理担当者で対応できます。
原因③ 徴収タイミングの設定が実態と合っていない

社会保険料を「当月徴収」にするか「翌月徴収」にするかは会社ごとに異なります。この設定がfreeeの実態と合っていないと、会計連携後の仕訳がずれ続けます。
社会保険料の従業員負担分を給与から天引きするタイミングには、当月分を当月の給与から引く「当月徴収」と、当月分を翌月の給与から引く「翌月徴収」の2種類があります。
freeeでは、この徴収タイミングを事業所設定で選択できます。ここの設定が実際の運用と合っていないと、給与計算上の控除月と会計仕訳の計上月がずれ、会社負担分の法定福利費が正しい月に計上されません。
月次決算で「法定福利費の残高が合わない」「預り金の残高が増え続けている」という現象が出ている場合、この設定のズレが原因である可能性が高いです。
対処法: freeeの事業所設定の徴収タイミングが、実際の給与計算運用と一致しているか確認する。変更が必要な場合、過去月への影響が出ることがあるため、税理士と相談したうえで修正する。
3つの原因に共通する本質

ズレを毎月修正し続けている会社は、「ツールを直す」ではなく「運用フローを設計し直す」ことが根本解決になります。
保険料率の更新・等級変更の反映・徴収設定の確認——これらを誰が・いつ・どの資料をもとに・どう確認するかがルール化されていない場合、担当者が変わるたびにズレが再発します。
freeeは正しく設定すれば自動計算できる優秀なツールです。しかし、設定の前提を正しく保つのは「仕組みと運用」の問題であり、ツール任せにはできません。
freee 5つ星認定アドバイザーとして多くの法人を支援してきたMC LINK会計事務所の経験では、社会保険料のズレが止まらない会社の多くは、freeeの操作に問題があるのではなく、「誰がいつ何を確認するか」という業務フローが整備されていません。ツールの設定を直すより先に、フローの設計から見直すことが必要です。
まとめ
freeeで社会保険の会社負担額がズレる原因は、ほぼ確実に「保険料率の更新漏れ」「標準報酬月額の反映漏れ」「徴収タイミングの設定ミス」のいずれかです。freee自体の不具合である可能性は低く、設定の前提情報を正しく保つ運用ができているかどうかが問われます。
社会保険の制度判断や届出手続きは社会保険労務士の領域です。freee上の設定・業務フロー設計はMC LINK会計事務所が会計事務所の立場から支援します。制度面の疑問は社会保険労務士、freeeの設定・運用設計の疑問はMC LINKという形で、専門家を使い分けることをお勧めします。
毎月の差額修正作業は、会社の成長に何も貢献しない無駄なコストです。
一度フローを整えれば解消できる問題であるため、放置せずに根本から解決してください。
よくある質問
Q. freeeで社会保険料の設定を変えると、過去の給与データに影響しますか?
設定変更の内容によっては、過去データに影響が出ることがあります。
特に標準報酬月額や徴収タイミングの変更は、変更前後の月で差額が発生する場合があります。
修正前に税理士に確認することをお勧めします。
Q. freeeに社会保険料率を自動更新する機能はありますか?
協会けんぽの保険料率については、freeeが自動反映に対応している場合があります。
ただし健康保険組合や介護保険料率は手動更新が必要なケースが多いため、毎年4月に設定を確認する習慣をつけることが重要です。
Q. 社会保険料の会社負担分は、会計上どの勘定科目で処理しますか?
会社負担分は法定福利費として費用計上します。
従業員負担分は給与から天引きして預り金として処理し、納付時に消込みます。
freeeの給与計算結果を会計へ連携する設定が正しく行われていればこの仕訳は自動計上されます。
Q. 社会保険の加入条件や届出について、freeeで確認できますか?
freeeは給与計算と会計処理のツールであり、社会保険の加入判定や届出手続きの判断機能は持っていません。
加入条件・届出・手続きに関する判断は社会保険労務士の業務領域です。
制度面の疑問は顧問の社会保険労務士にご確認ください。
Q. freeeの設定が正しいかどうか、自社で確認できますか?
年金事務所や健康保険組合から届く決定通知書・納付額通知書とfreeeの計算結果を照合することで、自社でも確認できます。
ただし設定の全体的な整合性や業務フローの設計については、freee 5つ星認定アドバイザーである税理士に依頼するのが確実です。
MC LINK会計事務所に相談する
freeeの設定だけ直しても、業務フローが整っていなければ同じ問題が繰り返されます。MC LINK会計事務所では、freeeの設定確認から業務フローの設計まで、会社の側に立って整備を支援します。社会保険の制度面は社会保険労務士と連携しながら、freeeを正しく機能させる環境づくりをサポートします。
監修:MC LINK会計事務所 代表パートナー 丸山 悠由(公認会計士・税理士)
公開:2026年6月
最終更新:2026年6月
本記事の情報は2026年6月時点のものです。
あわせて読みたい記事




