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中小企業が検討する「別法人による消費税節税」5項目

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この記事のポイント

別法人による消費税節税の要点をまとめた図です
  • BtoC売上を別法人に移す消費税節税スキームは、要件を満たせば合法的に成立する
  • ただし「事業実態のない分割」は同族会社の行為計算否認のリスクがある
  • 倒産防止共済の枠・法人税の軽減税率も2社分使えるが、管理コストも2社分発生する
  • 判断は節税効果ではなく「事業構造として合理性があるか」から入るべき
  • 実施前に税理士とのシミュレーションが必須

こんな状況、ありませんか

消費税負担で中小企業が直面する状況を示した図です

年商が伸びるにつれ、消費税の負担感が法人税を上回るようになってきた。

「利益率は改善しているのに、消費税の納付書を見るたびに重さを感じる」——売上が一定規模を超えた中小企業の社長から、こうした相談が増えています。

消費税は売上に比例して増える税金です。利益が出ていなくても課税される構造のため、法人税以上に「効くな」と感じる経営者は少なくありません。

この記事では、BtoB主体の会社でBtoC売上も一定程度ある場合に検討余地が出てくる「別法人活用による消費税節税」について、仕組み・メリット・注意点・判断軸を整理します。節税ありきの話ではなく、事業構造として成り立つかを起点に解説します。


なぜ別法人で消費税が減る構造になるのか

別法人により消費税負担が減る仕組みを示した図です

別法人活用の消費税節税は、インボイス制度の仕組みを利用したものです。

BtoB(事業者向け)取引では、買い手側が仕入税額控除を取るためにインボイス(適格請求書)の発行が必要です。
一方、BtoC(個人向け)取引では、買い手が事業者ではないため、インボイス発行の必要はありません。

この差を利用し、BtoC売上を切り出して別法人(B社)に移し、B社をインボイス未登録のまま運営する設計です。
基準期間の課税売上が1,000万円以下であれば、B社は消費税の申告・納付が不要になります。

つまり「BtoB顧客向けの請求書を出すA社」と「BtoC顧客に販売するB社」に分けることで、
グループ全体の消費税負担を下げる構造です。

重要なのは、これは制度の隙間を突くスキームではなく、
事業実態に即した分割であれば認められる設計だという点です。
逆に言えば、実態が伴わない場合は成立しません。


別法人活用で得られる3つの効果

別法人の活用で得られる3つの効果を示した図です

別法人を持つことの効果は、消費税だけにとどまりません。

効果① 消費税負担の軽減

BtoC売上をインボイス未登録の別法人で受けると、
その売上分の消費税申告・納付が不要になります。
仮に年間BtoC売上が1,000万円であれば、おおむね90万円前後の消費税負担が軽くなります。

効果② 法人税の軽減税率枠が2社分

中小法人の法人税には、所得800万円以下の部分に軽減税率(15%)が適用される仕組みがあります。1社で所得が800万円を大きく超えている場合、別法人に分散することで、各社それぞれが軽減税率の枠を使えるようになります。

効果③ 倒産防止共済の積立枠が2社分

経営セーフティ共済(倒産防止共済)の積立上限は1社あたり800万円です。別法人を設立すると、もう1社分の枠が使えるようになります。年間240万円×2社で、最大480万円の損金算入が可能になる計算です。

ただし、これらの効果はすべて「事業実態が伴っていること」が大前提です。次の章で、注意点を整理します。


やってはいけない「形だけの分割」

否認される形だけの会社分割の例を示した図です

別法人活用は有効な選択肢ですが、形だけの分割は税務上認められません。

注意① 事業の分離に合理的な理由があること

別法人は「税金を減らすため」だけに設立するものではありません。事業内容・顧客層・取引の性質が異なるという、経営上の合理的な理由が必要です。

「BtoB顧客向けの主力事業はA社、BtoC顧客向けの周辺事業はB社」というように、実際に事業が分かれて運営されていることが前提です。事務所も従業員もA社と完全に同一で、売上だけ移しているような状態は否認リスクが高まります。

注意② 利益移転には適正な対価が必要

A社からB社に業務を委託する場合、適正な市場価格での委託費の支払いが求められます。

不当に安い委託費でA社の利益をB社に意図的に移転すると、**同族会社の行為計算の否認(法人税法132条)**の対象となるリスクがあります。否認されれば、節税効果を失うだけでなく、過少申告加算税・延滞税の追加負担も発生します。

注意③ 管理コストも2社分かかる

別法人を持つと、税務申告・法人住民税の均等割(年間7万円〜)・社会保険手続き・決算書作成といった管理コストが2社分発生します。

税理士顧問料も2社分かかります。節税効果だけを見るのではなく、管理コストを差し引いた実質効果で判断することが重要です。


「別法人を作るべきか」の判断軸

別法人活用が検討に値するのは、以下の条件が複数当てはまる場合に限られます。

1つ目は、主要売上はBtoBだが、BtoC売上も継続的に発生していることです。BtoC売上がほぼゼロの会社では、無理に切り出す意味がありません。

2つ目は、年間BtoC売上が一定規模(おおむね500万円以上)であることです。これより小さい場合、管理コストの増加で効果が打ち消されます。

3つ目は、事業を分けることに経営上の合理性があることです。将来的にBtoC事業を別ブランドとして育てたい、事業承継時に分離しやすくしたい、といった経営上の意図があれば、節税効果と経営合理性の両方が成立します。

逆に、これらの条件が揃わないまま「節税できるから」という理由だけで法人を分けるのは、リスクと管理コストが効果を上回る可能性が高くなります。**MC LINK会計事務所では、節税スキームの提案にあたって「節税検討シートで網羅的に」現状を整理し、事業構造・将来計画・税負担のバランスから検討しています。**会社の側に立つ視点で判断することが、長期的に意味のある節税につながります。


まとめ

別法人活用による消費税節税は、要件を満たせば合法的に成立する有効な選択肢です。ただし、それは「節税ありき」で動いていい話ではありません。

事業実態が伴わない分割は税務リスクがあり、管理コストも2社分発生します。節税効果だけを見て判断すると、実質的にはコスト増になることもあります。

検討すべきは「自社の事業構造として、分けることに合理性があるか」です。そこに合理性があるなら、結果として消費税の節税効果もついてくる、という順序で考えることが正しい設計です。

具体的に検討したい方は、現状の財務数値・売上構成・将来計画を含めたシミュレーションから始めることをおすすめします。


よくある質問

Q. 別法人の設立にはどのくらい費用がかかりますか?

合同会社で6〜10万円程度、株式会社で20〜25万円程度が目安です。MC LINK会計事務所では行政書士が在籍しており、設立から税務顧問まで一貫して対応しています。

Q. インボイス未登録の状態はいつまで続けられますか?

基準期間(前々事業年度)の課税売上が1,000万円以下であれば、原則として免税事業者を継続できます。新設法人は設立から2年間は原則免税で、3年目以降は前々期の売上で判定されます。

Q. 別法人に移すBtoC売上の規模はどのくらいから検討余地がありますか?

管理コストとの費用対効果を考えると、年間BtoC売上が500万円以上ある場合から検討の余地が生じます。ただし具体的な判断は、事業内容・将来計画・全体の税負担を踏まえたシミュレーションが必要です。

Q. 形だけの分割と判断されないためのポイントは?

事務所・従業員・取引の実態が分かれていること、A社・B社間の取引が適正な市場価格で行われていること、事業を分けることの経営上の合理性が説明できることの3点が重要です。


消費税負担の見直しをお考えの方へ

MC LINK会計事務所では、別法人活用を含む消費税・法人税の節税スキーム設計から、法人設立・税務顧問まで一貫してサポートしています。

経験5年以上×2名体制で、節税検討シートを用いて現状を網羅的に整理し、事業構造の合理性と税務リスクの両面から検討します。「節税できる」だけでなく「自社にとって意味があるか」をお伝えする外部CFOとして、判断材料をご提供します。


監修:MC LINK会計事務所 丸山代表(公認会計士・税理士)/公開:2026年6月/本記事の税制は2026年4月時点の情報です。


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この記事を書いた人

MC LINK会計事務所 代表パートナー/株式会社MC LINKパートナーズ 取締役
有限会社MC&Associates 代表取締役/株式会社MC LINKヘルスケア 代表取締役/株式会社MC LINK FAS 代表取締役
丸山悠由公認会計士事務所 代表

公認会計士/税理士/認定事業再生士/経済産業省 経営革新等支援機関/総務省 政治資金監査人

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